ウィペットを迎える前に知りたい海外の現実|ブリーダー選びと病気の検査

人気急上昇のウィペット。その裏で、何が起きている?

2026年、イギリスでウィペットの登録数が1年で18%も増えました。ところが同じイギリスで、保護団体は「手放される子がさらに増える」と警告し、犬種団体は「血が濃くなりすぎている」というデータを公表しています。

人気の裏側で起きていることは、日本でウィペットと暮らす私たちにとっても、他人事ではありません。海外の最新データと日本の現状から、迎える前と迎えたあとに知っておきたいことをまとめました。

こんな疑問はありませんか?
  • 海外でウィペットの人気が上がっていると聞いたけど、本当?
  • 人気が出ると、何か困ることはあるの?
  • ウィペットに多い病気や、寿命が知りたい
  • ブリーダーさんから迎えるとき、何を確認すればいいの?
  • 保護されたウィペットを里親として迎える方法は?
【この記事の結論】

人気が上がるほど、血が濃くなり、手放される子も増える。これが、2026年のイギリスのデータから見えてきた現実です。

愛犬と長く元気に走り続けるために大切なのは、次の3つです。迎える前に親犬の健康検査を確かめること。里親という選択肢も知っておくこと。そして迎えたあとは、心臓のチェックと走る日の体温管理を習慣にすることです。


目次

2026年の海外ウィペット事情は「3つの流れ」で読み解ける

ローツェ

海外のウィペット事情って、速さの話ばかりだと思ってた。でも、それだけじゃないみたい!

2026年に海外の犬種団体や保護団体が公表した情報を読み比べると、ウィペットをめぐる動きは、大きく次の3つに整理できます。

流れ1:人気(LIVE)

イギリスでは登録数が急増し、「家では穏やかで、手入れが楽な犬」として、都会で暮らす人にも選ばれるようになっています。雑誌のコラムで「上品な暮らしの象徴」として取り上げられるほど、イメージも変わってきました。

流れ2:走る文化(RUN)

ショー(見た目の美しさを競う品評会)で活躍する家系の犬が、ルアーコーシング(疑似餌を追いかけて走る競技)でも結果を出すようになりました。アメリカでは、100ヤード(約91m)のタイムを測る競技が、誰でも参加できる入り口として定着しています。

流れ3:健康(HEALTH)

人気が高まるほど、「この犬種を健康なまま次の世代へつなげられるか」が問われます。血のつながりの濃さを数字で示す分析や、繁殖前の健康検査の基準づくり、心臓や体温の研究が進んでいます。

図解:2026年 海外ウィペット事情の3本柱

2026年 海外ウィペット事情の3本柱(RUN=走る文化/LIVE=人気と暮らし/HEALTH=健康と血統)の図解

この記事で扱わない情報について

インターネットやAIの回答では、「SNSでの再生回数が○億回」といった数字もよく見かけます。ただ、こうした数字の多くは、SNSの運営会社ではない第三者が集計したもので、元のデータを確かめることができません。この記事では、団体や研究者が公表していて、元の資料までたどれる情報だけを使っています。SNSでの流行やグッズの話題は、以下の記事でまとめています。

ヌプツェ

人気・走る文化・健康。この3つがつながってるって覚えておくと、この先の話がぐっとわかりやすくなるよ。


イギリスで登録数18%増|なぜ今ウィペットなのか

ヌプツェ

イギリスで、私たちの仲間が一気に増えてるんだって。ちょっとうれしいけど、なんでだろう?

2026年1〜3月の登録数が前年比18%増

イギリスの犬の血統登録を管理するロイヤル・ケネル・クラブ(RKC)は、2026年5月27日、2026年1〜3月のウィペットの登録数が前年の同じ時期より18%増え、登録数トップ15の犬種に入ったと発表しました。

同じ発表では、鼻の短い犬種が大きく減ったことも示されています。

スクロールできます
犬種増減
ウィペット18%増
フレンチ・ブルドッグ37%減
ブルドッグ34%減
パグ43%減

RKCは、鼻の短い犬種が減った理由について、責任ある繁殖と飼育への意識が高まったためだと説明しています。

RKCが挙げた人気の理由

RKCは、ウィペットが選ばれている理由として、次の点を挙げています。

  • 2025年、世界最大級のドッグショー「クラフツ」で、イタリアのウィペット「ミウッチャ」が最優秀犬(ベスト・イン・ショー)に選ばれた
  • 俳優など、ウィペットと暮らす有名人が多い
  • 運動は1日およそ1時間でよく、毛のお手入れも少ない
  • 平均寿命はおよそ12歳
  • 愛情深く、さまざまな環境に合わせて暮らせる

ただし、これはRKCの見解です。どの理由がどれくらい登録数を押し上げたのかを、数字で確かめた調査ではありません。

アメリカでは48位。「急上昇」は主にイギリスの話

アメリカン・ケネル・クラブ(AKC)が発表した2025年の人気犬種ランキングでは、ウィペットは48位でした。AKCの発表の中で、イギリスのような急な伸びは取り上げられていません。「海外で大人気」とひとまとめにせず、「特にイギリスで急に増えている」と受け止めるのが正確です。

「炭鉱の競走犬」から「上品な暮らしの象徴」へ

ウィペットはもともと、19世紀のイギリスで炭鉱で働く人たちが短い距離を競走させた犬で、「貧しい人の競走馬」と呼ばれていました。2026年5月、オーストラリアの雑誌「スペクテイター・オーストラリア」は、そのウィペットが今では上流階級の家庭や、洗練された暮らしを発信する人たちに選ばれる「ステータスの象徴」になっている、というコラムを掲載しました。これは書き手の論評で、統計ではありませんが、ウィペットのイメージの変化を表す一つの見方として興味深いものです。

ヌプツェ

有名な大会での優勝や、暮らしやすさが人気のきっかけなんだね。でも、理由がはっきり数字でわかってるわけじゃないのは覚えておこうっと。


ショーと競技の垣根が消えつつある|「美しく、ちゃんと走れる」ウィペットへ

ローツェ

見た目がきれいな子と、走るのが速い子。昔は別々だったんだって。今はどうなってるのかな?

ショー系の犬が、ルアーコーシングで活躍

ウィペットには、見た目の美しさを重視して繁殖されてきた「ショー系」と、走る速さを重視してきた「レース系」があり、体つきにも違いがあります。

イギリスのウィペット犬種評議会(ウィペットのクラブが集まった団体)は、2025年11月の会議の報告で、「ショーとルアーコーシングのクロスオーバー(行き来)がますますはっきりしてきた。ショー系のウィペットが大きな成功を収めている」と述べています。評議会は、この流れを「本来の役割にかなった体(フィット・フォー・ファンクション)」の表れだと位置づけています。

イギリスのルアーコーシングは、この10年で人気が続けて上昇

同じ評議会は、イギリスのルアーコーシングについて「この10年で人気が増え続けている」と説明しています。イギリスには主に2つの団体があります。

  • スポーティング・ウィペット・クラブ(2013年設立):登録されたウィペット専用
  • UKサイトハウンド・スポーツ(2017年設立):ウィペット以外のサイトハウンド(目で獲物を追う犬種)も参加でき、ヨーロッパの基準に合わせた競技を目指している

シーズンはどちらも3月から10月です。

アメリカでは「タイムを測る」競技が入り口に

アメリカで広まっているのが、AKCの「ファストキャット(Fast CAT)」です。犬が1頭ずつルアーを追いかけて100ヤード(約91m)を走り、そのタイムを測ります。生後12ヶ月以上で、AKCに番号を登録していれば、純血種でなくても、避妊・去勢をしていても参加できます。

2026年9月18〜21日にアメリカ・ミズーリ州で開かれた7回目の「ファストキャット招待大会」では、ウィペットの「ニュート」が5.745秒(時速35.60マイル=約57km)で部門2位に入りました。全体でいちばん速かったのはグレーハウンドの「フリッツ」で、5.675秒(時速36.04マイル=約58km)でした。

ファストキャットのように「タイムという記録が残る」仕組みがあると、自分の犬の走りを、日ごとや年ごとに比べられるようになります。

日本の競技との違い

日本で「ルアーコーシング」と呼ばれている大会の多くは、直線や周回のコースで順位やタイムを競う形式で、海外の競技とは呼び方や形式が異なるものがあります。くわしい違いは以下の記事で解説しています。

日本でも全国で練習会や体験会が開かれています。まずは見学からでも、走る文化にふれてみてください。

ローツェ

美しくて、しかもちゃんと走れる。そんなウィペットが評価される時代になってきたんだね。私もがんばって走るよ!


人気の裏で進む「血のつながりの濃さ」という課題

ヌプツェ

仲間が増えるのはいいことだよね?……と思ったら、そう単純じゃないみたい。

イギリスのウィペットは「いとこ同士より近い」

イギリスのウィペット犬種評議会は2026年2月、RKCのデータをもとにした分析結果を紹介しました。内容を、専門用語をできるだけ使わずにまとめると、次のとおりです。

  • 2021年に生まれたウィペットの「近親交配の度合い」の平均は10.2%
  • 今生きているウィペット同士の「血のつながりの近さ」の平均は14.1%。これは、いとこ同士(12.5%)よりも近い
  • 遺伝的な多様性を保つうえで実質的に意味のある集団の大きさ(有効集団サイズ)は74。評議会は、50〜100の範囲を「遺伝的に弱い状態」と説明している

評議会は、ウィペットは「多様性を保てるスピードより速く、多様性を失っている」と警告しています。

頭数が多くても、安心とは限らない

「ウィペットはたくさんいるから大丈夫」と思うかもしれません。ところが、分析によると、イギリスのウィペットの登録数は1990年から2021年の間に約3倍に増えています。それでも多様性は失われ続けているのです。

理由の一つが、「人気のある父犬に繁殖が集中すること」です。分析では、ショーで優秀な成績を収めた犬などに与えられる番号を持つ犬(全体の4.4%)が、そうでない犬よりずっと多くの子どもを残していることが示されました。

2015年に発表された、イギリスの登録犬215犬種すべてを調べた研究でも、同じことが指摘されています。多様性を保つ力は、登録数の多さとは関係がなく、人気のある父犬に繁殖が集中することが、血のつながりが濃くなるいちばんの原因だとされています。

血が濃いほど、生まれる子犬が少ない

分析では、近親交配の度合いが高いほど、一度に生まれる子犬の数が少ないという、はっきりした関係も見つかりました。評議会は、こうした影響が、生きる力や子孫を残す力、病気へのかかりやすさにも及ぶおそれがあると説明しています。

図解:人気上昇から健康リスクまでの連鎖

人気上昇が健康リスクにつながる流れ(人気の高まり→人気の父犬への繁殖集中→血のつながりが濃くなる→子犬の減少・病気のリスク→手放しの増加)の図解

日本はどうなのか

この分析はイギリスで登録されたウィペットのものです。日本のウィペットについて、同じような分析は公表されておらず、現時点ではわかりません。ただ、日本のウィペットも海外から迎えた血統をもとに繁殖されていることが多いため、同じ構造の問題が起きうると考えておくのが慎重な見方です。これは書き手の推測で、データで確かめたものではありません。

ヌプツェ

たくさんいても、みんなが親戚どうしだと困っちゃうんだね。人気の父犬ばかりに頼らないことが大事なんだ。


ウィペットに多い病気と、海外で当たり前になりつつある健康検査

ローツェ

ずっと元気に走り続けたいから、体のこともちゃんと知っておきたいな。

アメリカの繁殖前検査:必須3つ、推奨3つ

アメリカのウィペット健康財団は、アメリカン・ウィペット・クラブなどと共に、繁殖に使う犬が受けておくべき検査を定めています(2026年6月18日更新)。

スクロールできます
区分検査頻度
必須目の検査(眼科専門医による診察)毎年
必須心臓の超音波検査(心エコー、循環器の専門医による)2年ごと
必須耳の聞こえの検査1回
推奨甲状腺の検査2年ごと
推奨筋肉がつきすぎる遺伝子の検査1回
推奨股関節の検査1回

「推奨」の中にある筋肉の遺伝子検査は、2007年の研究で、ある遺伝子の変化を2つ持つと筋肉が極端に多くなり(「バリー・ウィペット」と呼ばれます)、1つだけ持つ犬はレースで速い傾向がある、とわかったことが背景にあります。

心臓:若いうちから、弁の逆流が見つかることがある

ウィペットの健康で、特に研究が進んでいるのが心臓です。心臓の中にある「僧帽弁(そうぼうべん)」という弁が少しずつ傷み、血液が逆流するようになる病気です。

アメリカの研究チームが2017年に発表した研究では、ドッグショーに参加していた健康なウィペット200頭を調べました。その結果は次のとおりです。

  • 心雑音(聴診器で聞こえる、心臓の音の乱れ)があった:93%
  • 心エコーで、弁の逆流が見つかった:38%
  • 2歳以下でも15%、7〜8歳では59%に逆流が見られた

心雑音はウィペットではよく聞かれるもので、雑音があるからといって病気とは限りません。一方で、聴診だけでは逆流を見逃すことがあるため、研究チームは、はっきりさせるには心エコーが必要な場合があるとまとめています。

2015年には、この病気の重さに関わる遺伝子の場所(15番目の染色体の一部)が見つかったという研究も発表されました。ウィペット健康財団は、若いうちから重くなる子が1〜2割ほどいるとして、原因を探る研究を支援しています。

走る犬の心臓は大きい。でも、それは病気とは限らない

もう一つ知っておきたいのが、2023年に発表された研究です。ルアーコーシングなどで体を鍛えているウィペットは、そうでないウィペットより心臓(左心室)が大きく、重さの平均は約133gと約97gでした。それでも、血液を送り出す力には差がありませんでした。

研究チームは、これは運動に適応した「アスリートの心臓」で、ウィペット専用の基準で判断しないと、健康な大きさを病気と見誤るおそれがあると指摘しています。

運動で体温が上がりすぎる症状の研究

フィンランドのヘルシンキ大学とアメリカのミネソタ大学は、「運動誘発性高体温」と呼ばれる症状の原因遺伝子を共同で研究しています。ふだんは健康に見えるウィペットが、走り始めて5〜15分ほどで、ぼんやりする、ふらつく、足がもつれる、倒れこむといった状態になるものです。発作中は体温が上がっていますが、体温の上昇が倒れる原因そのものなのかは、まだわかっていません。

ミネソタ大学の研究ページによると、フィンランドでレースに出ている犬(引退犬を含む)約40頭を調べた段階では、原因遺伝子は見つかっておらず、アメリカで集めた36頭のデータを加えて研究を続けています。研究チームは、特に「高齢まで健康にレースやルアーコーシングを続けてきた犬」のデータが大切だとしています。

ウィペットの寿命

RKCは、ウィペットの平均寿命をおよそ12歳としています。長く元気に過ごすために、心臓や体温のように、見た目ではわかりにくい部分に目を向けることが大切です。

ローツェ

見た目は元気でも、心臓の中までは見えないもんね。定期的に調べてもらえると安心だよ。


イギリスと日本で増える保護ウィペット

ヌプツェ

人気が出ると、残念だけど、おうちを失う子も増えちゃうんだって……。

イギリス:保護団体が「このままでは増える」と警告

イギリスのウィペット保護団体「JRウィペット・レスキュー」は、2026年6月2日、登録数18%増の発表を受けて、次のような懸念を表明しました。

  • 保護されるウィペットは年々増えている
  • 保護される子の多くが、性格面の課題や、病気、特別なケアが必要な事情を抱えている
  • ブリーダーから「売れ残った子犬を引き取ってほしい」と相談されることがある
  • 「仕事で家をあける人でも飼いやすい犬」と紹介する報道が、準備不足のまま迎える人を増やしている

手放される理由

イギリスのウィペット犬種評議会の報告では、手放されるウィペットの理由として、次のようなものが挙げられています。

  • 同じ時期に生まれたきょうだい犬を2頭いっしょに迎えたことで起きる問題
  • 高齢の飼い主さんが子犬を迎え、世話を続けられなくなった
  • 留守番のときの強い不安(分離不安)
  • 飼い主さんに何かあったときに、犬を託す先が決まっていなかった

2026年6月のイギリスの報道では、ドッグトレーナーが「ウィペットはとても繊細」と話し、動物病院を運営する団体も、早いうちから人や環境に慣らすことと、留守番の不安への備えが大切だと呼びかけています。

日本:登録数はむしろ減っている

日本の状況も見てみましょう。ジャパンケネルクラブ(JKC)が公表している、1年間に新しく血統登録されたウィペットの頭数は次のとおりです。

スクロールできます
年登録数順位
2020年385頭33位
2021年497頭33位
2022年408頭34位
2023年392頭32位
2024年455頭31位
2025年303頭38位

イギリスとは反対に、2025年は前の年より3割ほど減りました。なお、この数字は血統書が発行された犬の数で、日本で暮らしているウィペットすべての数ではありません。

日本:保護されるウィペットは身近な存在に

では、日本では保護されるウィペットは少ないのでしょうか。日本のウィペットの保護頭数を年ごとにまとめた統計は、見つけることができませんでした。

ただ、サイトハウンドを専門に保護している「サイトハウンドレスキューチーム」が公開している、2018年以降に新しい家族のもとへ送り出した犬の内訳を見ると、ウィペットは11頭で、アフガン・ハウンドやボルゾイ、サルーキ、イタリアン・グレーハウンドなどを上回り、最も多くなっています。

また、日本では2021年6月から、ブリーダーやペットショップなどの業者が雌犬を繁殖に使える回数(生涯6回まで)や年齢(原則6歳まで)に上限が設けられました。繁殖を終えた犬の行き場が課題になっていることも報じられています。

わが家はルアーコーシングの大会に参加していますが、書き手の実感としても、ここ数年、SNS(Instagram)でウィペットの里親募集を見かけることが増えました。大会の会場でも、保護されて新しい家族に迎えられたウィペットが、元気に走っている姿を見かけます。統計で確かめたものではありませんが、日本でも保護ウィペットは決して遠い話ではなくなっています。

ヌプツェ

保護された子も、新しいおうちで思いきり走れるようになるんだよね。そういう子たちに会えると、なんだかうれしくなるな。


日本の飼い主さんが今日から取り入れたい5つのこと

ローツェ

海外の話を聞いて、じゃあ私たちは何をすればいいの?ってところをまとめてもらったよ。

1. ブリーダーさんから迎えるなら、親犬の健康検査を確かめる

アメリカで繁殖前の検査が決められているのは、心臓や目、耳の病気の中に、見た目ではわからないものがあるからです。日本で同じ検査が決められているわけではありませんが、ブリーダーさんから迎えるときは、次のようなことを聞いてみましょう。

  • 親犬は、心エコーや目の検査を受けているか
  • 父犬・母犬はどんな犬で、実際に会えるか
  • 同じ父犬からたくさんの子犬が生まれていないか
  • 迎えたあとも相談に乗ってもらえるか

質問にていねいに答えてくれるかどうかも、ブリーダーさんを選ぶ大切な判断材料になります。

2. 里親として迎えるという選択肢を知っておく

ウィペットを迎える方法は、ブリーダーさんからだけではありません。保護団体や里親募集サイトを通して、保護されたウィペットを迎えることもできます。たとえばサイトハウンドレスキューチームでは、問い合わせのあと、お見合い、2週間ほどいっしょに暮らしてみる「トライアル」を経て、正式に家族になる流れです。

保護された子は、性格面や健康面で配慮が必要なこともあります。団体の方から、これまでの暮らしや性格をよく聞き、自分の暮らしに合うかどうかを考えて決めましょう。

3. 成犬になったら、心エコーを動物病院に相談する

先ほどの研究のとおり、ウィペットでは若いうちから心臓の弁の逆流が見つかることがあり、聴診だけではわからない場合もあります。定期的な健康診断のときに、心エコーを受けるべきかどうか、かかりつけの獣医師に相談してみてください。ルアーコーシングなどで体を鍛えている子は、心臓が大きめに見えることもあるので、そのことも伝えておくと安心です。

4. 走る日は「タイム」と「体調」をセットで記録する

アメリカのファストキャットのように、タイムを記録する文化は、健康管理にも役立ちます。走った日のタイムと一緒に、気温、走ったあとの呼吸の落ち着き方、ふらつきがなかったかなどを残しておくと、「いつもと違う」に早く気づけます。

特に暑い季節は、体温が上がりすぎないよう注意が必要です。イギリスでも、2026年9月のウィペットのレースの大会が、長引く熱波で地面の状態が悪くなったことから、カーブのあるコースから直線コースに変更されました。暑い日は走る本数を減らす、日陰で休ませる、体を冷やすグッズを用意するなど、無理をさせない工夫をしましょう。

RUFFWEAR(ラフウェア) スワンプクーラーベスト バイオルミンブルー Medium

RUFFWEAR(ラフウェア) スワンプクーラーベスト バイオルミンブルー Medium

わが家で使っている冷却ネッククーラーのレビューは、以下の記事で紹介しています。

走り始めてしばらくしてから、ぼんやりする、ふらつく、足がもつれるといった様子が見られたら、すぐに運動をやめ、涼しい場所で休ませて、動物病院に相談してください。

5. 追いかける本能と、留守番への備えをしておく

イギリスで手放される理由として挙げられていた「追いかける本能」や「留守番の不安」は、日本でも同じです。ウィペットは、動くものを見ると一瞬で走り出すことがあります。首輪から抜けにくい、サイトハウンド向けの首輪(マーチンゲールカラー)を使い、外では必ずリードをつけましょう。

SightHound ギャング マーチンゲール 犬の首輪 グレイハウンド サルーキ ウィペットや他の同様の首回りを持つ犬種用 幅2インチ (L 14~18インチ) マルチカラー、マルチカラー

SightHound ギャング マーチンゲール 犬の首輪 グレイハウンド サルーキ ウィペットや他の同様の首回りを持つ犬種用 幅2インチ (L 14~18インチ) マルチカラー、マルチカラー

留守番の不安を防ぐ接し方は、以下の記事でくわしく解説しています。

ローツェ

迎える前の確認と、迎えたあとの体のチェック。どっちも、私たちが長く元気に走るための大事な準備なんだ。


よくある質問

ウィペットは本当に海外で人気が上がっているのですか?

イギリスでは、はっきり上がっています。
RKCの発表では、2026年1〜3月の登録数が前年より18%増えました。一方、アメリカでは2025年の人気ランキングで48位と、急な伸びは報告されていません。

ショー系の子でも、ルアーコーシングはできますか?

イギリスでは、ショー系のウィペットがルアーコーシングで活躍していると報告されています。
ただし、体つきや走り方には一頭ごとに違いがあります。体の状態を見ながら、無理のない範囲で楽しみましょう。

ウィペットに多い病気は何ですか?

研究が特に進んでいるのは、心臓の僧帽弁の病気です。
健康なウィペット200頭を調べた研究では、2歳以下でも15%に弁の逆流が見られました。聴診だけではわからないことがあるため、心エコーについて獣医師に相談してみてください。

ウィペットの寿命はどれくらいですか?

イギリスのRKCは、平均寿命をおよそ12歳としています。
もちろん個体差があります。心臓などの定期的なチェックが、長く元気に過ごすための助けになります。

ウィペットの里親になるには、どうすればいいですか?

サイトハウンドを専門にしている保護団体や、里親募集サイトで探すことができます。
たとえばサイトハウンドレスキューチームでは、問い合わせ、お見合い、2週間ほどのトライアルを経て正式に迎えます。条件や流れは団体ごとに違うので、事前に確認しましょう。

血のつながりの濃さの問題は、日本のウィペットにも関係がありますか?

日本のウィペットについての分析は公表されておらず、現時点ではわかりません。
ただ、海外から迎えた血統をもとに繁殖されていることが多いため、同じ問題が起きうると考えておくのが慎重です(書き手の推測です)。


まとめ

2026年の海外のウィペット事情は、「人気」「走る文化」「健康」の3つの流れで動いています。イギリスでは登録数が1年で18%増え、ショー系の犬がルアーコーシングでも活躍するなど、「美しく、ちゃんと走れる」ウィペットが評価されるようになりました。

その一方で、人気のある父犬に繁殖が集中し、血のつながりが「いとこ同士より近い」ほど濃くなっていることや、準備不足のまま迎えられた子が手放されるケースの増加が、課題としてはっきり語られています。アメリカでは、心臓・目・耳の繁殖前検査が決められ、心臓や体温の研究も進んでいます。

日本では、登録数は2025年に減ったものの、保護されるウィペットは身近な存在になりつつあります。迎える前に親犬の健康検査を確かめること、里親という選択肢を知っておくこと、迎えたあとは心エコーの相談や、走る日の体調の記録を習慣にすること。海外の流れから学べるのは、「速く走れること」だけでなく、「健康に、長く、楽しく走り続けられること」を大切にする考え方です。


出典・参考情報

この記事は、以下の情報に基づいて執筆しています。

  • Royal Kennel Club (2026年5月27日) “Whippets surge in popularity as UK registrations jump 18% in early 2026″:www.royalkennelclub.com
  • American Kennel Club “The Most Popular Dog Breeds of 2025″:www.akc.org
  • Byrne, A. (2026年5月) “What your whippet says about you”, The Spectator Australia:www.spectator.com.au
  • UK Whippet Breed Council (2025年11月17日) “Synopsis of the Ordinary Meeting of the Whippet Breed Council”:whippetbreedcouncil.com
  • UK Whippet Breed Council “Lure Coursing”:whippetbreedcouncil.com
  • American Kennel Club “Fast CAT”:www.akc.org
  • American Kennel Club (2026) “Meet the 2026 Fast CAT Invitational Winners”:www.akc.org
  • UK Whippet Breed Council (2026年2月28日) “Genetic Diversity – Whippet Population Analysis of UK RKC registered Whippets”:whippetbreedcouncil.com
  • Lewis, T.W., Abhayaratne, B.M., Blott, S.C. (2015) “Trends in genetic diversity for all Kennel Club registered pedigree dog breeds”, Canine Genetics and Epidemiology 2: 13:pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  • Whippet Health Foundation “Whippet Pre-Breeding Screening”(2026年6月18日更新):whippethealth.org
  • Whippet Health Foundation “Research Studies”:whippethealth.org
  • Mosher, D.S., et al. (2007) “A Mutation in the Myostatin Gene Increases Muscle Mass and Enhances Racing Performance in Heterozygote Dogs”, PLoS Genetics 3(5): e79:journals.plos.org
  • Stepien, R.L., Kellihan, H.B., Luis Fuentes, V. (2017) “Prevalence and diagnostic characteristics of non-clinical mitral regurgitation murmurs in North American Whippets”, Journal of Veterinary Cardiology:pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  • Stern, J.A., et al. (2015) “Severity of Mitral Valve Degeneration Is Associated with Chromosome 15 Loci in Whippet Dogs”, PLOS ONE 10(10): e0141234:journals.plos.org
  • Stepien, R.L., et al. (2023) “Echocardiographic values for normal conditioned and unconditioned North American whippets”, Journal of Veterinary Internal Medicine 37(3): 844-:doi.org
  • University of Minnesota Canine Genetics Lab “Whippet Exercise Induced Hyperthermia”:canine-genetics.umn.edu
  • The Whippet Club (2026) “Announcement: 4th WCRA Championships on 13th September 2026″:www.thewhippetclub.com
  • JR Whippet Rescue (2026年6月2日) “The rise of RKC whippet puppy registrations”:whippetrescue.org.uk
  • BritBrief (2026年6月13日) “Whippets surge in UK popularity, but experts warn of training and separation anxiety issues”:britbrief.co.uk
  • 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「犬種別犬籍登録頭数」(2020年〜2025年):www.jkc.or.jp
  • サイトハウンドレスキューチーム「家族決定の子たち」:www.bizserver1.com
  • 環境省「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針」(繁殖の回数・年齢に関する事項):www.env.go.jp
長く元気に走るために/知っておきたい海外のリアル(ベッドで寄り添うウィペット2頭)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらこの記事をシェアしてね!
目次