- 一緒に寝ると、犬はよく眠れるの?
- 一緒に寝ることは、犬の長生きにつながるの?
- 一緒に寝ていないと、かわいそう?
- 一緒に寝て、病気がうつったり事故が起きたりしない?
- 寒がりなウィペットは、どう寝かせるのがいい?
飼い主さんがそばにいると、犬は早く寝つき、深く眠れることが研究で分かっています。強い不安を抱える犬は寿命が短い傾向があるため、安心して眠れる毎日は長生きの土台になると考えられます。ただし「一緒に寝れば寿命が延びる」とまで言える研究はまだありません。大切なのは同じベッドかどうかより、犬が安心して眠れること。一緒に寝るなら、感染症と落下事故の対策をしたうえで楽しみましょう。
飼い主さんがそばにいると、犬はぐっすり眠れる
ヌプツェ大好きな人がそばにいると、なんだか安心して眠くなるんだよね。これって気のせいじゃないみたい!
脳波で確かめた「そばにいると深く眠れる」
ハンガリーの研究チームが2025年に発表した研究では、家庭で暮らす成犬9頭の脳波を測り、眠り方を比べました。飼い主さんが部屋の床に敷いたマットレスに座って付き添った日と、飼い主さんが部屋を出て、知らない研究者が付き添った日です。
飼い主さんがそばにいると、犬は次のような眠り方をしていました。
- 早く寝つく
- 眠っている時間の割合(睡眠効率)が高い
- 深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が長い
ただし、対象はわずか9頭で、研究室の中で昼間に3時間眠ったときの結果です。夜に同じベッドで寝た場合を調べたものではありません。
触れ合うと、犬にも人にも「安心ホルモン」が出る
スウェーデンの研究(2011年)では、10人の女性が自分の犬(オスのラブラドール・レトリーバー)を3分間なでたり話しかけたりしたあと、犬と人の両方の血液を調べました。その結果、犬と人の両方で、気持ちを落ち着かせる働きのある「オキシトシン(安心ホルモン)」が増えていました。ストレスホルモンや心拍数にも変化が見られました。
日本の研究チームも2015年に、犬と飼い主さんが見つめ合うと、両方のオキシトシンが増えることを報告しています。
どちらも起きているときの触れ合いを調べた研究ですが、寝る前に体を寄せ合う時間も、犬にとって安心できるひとときになっていると考えられます。
図解:一緒に寝ることについて、わかっていること・まだわかっていないこと

ヌプツェそばにいるだけで、ぐっすり眠れて安心ホルモンも出る。私たちにとって、パパやママの存在は最高の睡眠薬なんだ!
安心できる眠りは、長生きにつながる?
ローツェぐっすり眠れて安心できるなら、長生きにもつながるのかな?研究を見てみよう。
強い不安を抱える犬は、寿命が短い傾向がある
アメリカの研究(2010年)では、すでに亡くなった犬721頭について、飼い主さんにアンケートで聞き取りをしました。その結果、知らない人に強い恐怖を感じる犬は、そうでない犬より約6か月早く亡くなっていました。また、恐怖心の強さや分離不安(ひとりになると強い不安を感じる状態)は、皮膚のトラブルとも関係していました。
ただし、飼い主さんの記憶にもとづく調査なので、「不安が原因で寿命が縮んだ」とまでは言えません。
つながりの多い犬は、健康状態が良い
アメリカの大規模な研究「ドッグ・エイジング・プロジェクト」では、2万1,410頭の犬について、暮らしの環境と健康状態の関係を調べました(2023年発表)。その結果、ほかの犬と一緒に暮らしているなど、社会的なつながりが多い犬ほど健康状態が良い傾向がありました。その関係の強さは、飼い主さんの経済状況の約5倍でした。
ただし、この研究が調べたのは寿命ではなく、ある時点での健康状態です。添い寝についても調べていません。
「一緒に寝れば寿命が延びる」とまでは言えない
これらの研究は、どれも「安心できる関係は、犬の健康にとって良いことらしい」という方向を示しています。一方で、「一緒に寝ると寿命が何年延びる」と言い切れる研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。理由は次の3つです。
- 規模が小さい:睡眠やホルモンの研究は、9〜10頭ほどの小さな研究
- 条件が違う:「そばにいる」「起きているときになでる」を調べたもので、「同じベッドで夜に寝る」を調べたものではない
- 寿命を直接比べていない:一緒に寝る犬と寝ない犬の寿命を比べた研究は見当たらず、寿命を調べた研究で示された差も約6か月で、原因と結果の関係までは分かっていない
長生きのために言えること
研究からはっきり言えるのは、「一緒に寝ること」そのものより、「犬が安心して眠れること」「強い不安をためこませないこと」が大切だということです。一緒に寝ることは、そのための方法のひとつと考えるとよいでしょう。
ローツェ一緒に寝ればそれだけで長生き、ではないんだね。でも、安心してぐっすり眠れる毎日は、私たちの元気の土台になりそう!
一緒に寝ると、犬と飼い主さんの体に何が起きるか
ローツェ一緒に寝ると、私たちはぐっすり眠れるかもしれない。じゃあ、パパやママのほうはどうなんだろう?
犬の眠り:「同じ部屋にいる」だけでも安心できる
先ほどの2025年の研究では、飼い主さんは犬と同じベッドで寝ていたわけではなく、同じ部屋のマットレスに座って付き添っていました。それでも犬は早く寝つき、深く眠っていました。
つまり、研究からわかるのは「飼い主さんがそばにいると犬は安心して眠れる」ということで、「同じベッドでなければいけない」ということではありません。
飼い主さんの眠り:犬がベッドの上だと、少し浅くなる
アメリカのメイヨー・クリニックの研究(2017年)では、健康な大人40人と、その犬の睡眠を7晩にわたって、腕や首輪につけた活動量計で記録しました。
- 犬が寝室にいても、飼い主さんの睡眠効率は平均81%と良好だった
- ただし、犬がベッドの上にいると、ベッドの下(床)にいる場合より、飼い主さんの睡眠効率が下がっていた
アンケート調査の結果は分かれています。アメリカの大人を対象にした2024年の調査では、犬と一緒に寝ている人は「眠りの質が悪い」「寝つけない」と答える傾向がありました。一方で、アメリカの女性962人へのアンケート(2018年)では、犬は人間のパートナーよりも「眠りを邪魔しない」「安心できる」と感じられていました。
「一緒に寝る」と「同じ部屋で寝る」は分けて考える
ここまでの研究をまとめると、次のように考えるのが自然です。
- 犬にとっては、飼い主さんがそばにいることが安心につながる
- 飼い主さんにとっては、犬がベッドの上にいると眠りが少し浅くなることがある
- 同じ部屋の、ベッドのすぐ横に犬用の寝床を置くのも、ひとつの答えになる
ケージで寝るかベッドで寝るかと、分離不安の関係については、以下の記事でくわしく紹介しています。
ヌプツェ私たちにとって大事なのは、ベッドの上かどうかより、そばに大好きな人がいることなんだね。
犬と一緒に寝ると「死亡」が心配される理由|感染症と事故
ローツェ「死亡」なんて言葉が出てくると、ドキッとするよね。何が心配されているのか、ちゃんと知っておこう。
犬の口の中にいる菌による感染症
犬の口の中には、人にうつると重い病気を起こすことがある菌が、ふだんからすんでいます。代表的なのが次の2つです。
| 病気 | 犬が持っている割合など | 主なうつり方 | 国内の状況 |
| カプノサイトファーガ感染症 | 犬の74〜82%が原因菌を持っている | かまれる・ひっかかれる、傷口をなめられる | 1993年〜2017年末に93人、うち19人が死亡 |
| パスツレラ症 | 室内で飼われている犬で11.1%(静岡県、令和2年度の調査) | かまれる・ひっかかれる、口移しなどの濃い接触 | 高齢の方や持病のある方は重くなることがある |
カプノサイトファーガ感染症について、厚生労働省は「患者の95%以上が40代以上」「健康な人でもうつって発症することがある」と説明しています。めったに起きない病気ですが、起きると重くなりやすいため、知っておくことが大切です。
一緒に寝るのを避けたほうがよい人
アメリカの獣医学の専門家が2011年に発表した論文は、犬や猫と一緒に寝ることで病気がうつるリスクは「低いが、ありうる」としたうえで、次のような人は一緒に寝るのを避けるべきだと述べています。
- 病気や治療で免疫が弱くなっている人
- 小さな子ども
- 高齢の方
この論文によると、犬や猫をベッドに入れている飼い主さんは、調査によって14〜62%と幅がありました。
一緒に寝るときに気をつけたい犬の状態
- ノミ・マダニの予防をしていない:寝具を通して、ノミやマダニが人にうつることがある
- 寝ているときに触られると怒る:寝返りで体が当たったときに、かまれることがある
- ベッドから勢いよく飛び降りる:着地のときに、足をけがすることがある
図解:一緒に寝る前のチェック

ローツェめったにないことでも、知っていれば防げるよ。心配なことがあるなら、ベッドの横で寝るのも立派な「一緒に寝る」だと思う!
一緒に寝るなら守りたい5つのルール
ヌプツェ一緒に寝るなら、安心して寝られるようにルールを決めておこう!
ルール1:ノミ・マダニの予防を続け、寝具をこまめに洗う
ノミ・マダニの予防薬は、動物病院で相談して一年を通して続けましょう。犬が使うシーツや毛布は、こまめに洗濯して清潔に保ちます。
ルール2:顔や口をなめさせない、口移しをしない
カプノサイトファーガやパスツレラの菌は、犬の唾液にふくまれています。厚生労働省や自治体は、口移しで食べ物をあげるなどの濃い触れ合いを控えること、触れ合ったあとに手を洗うことをすすめています。手や顔に傷があるときは、特に傷口をなめさせないようにしましょう。
ルール3:ベッドの乗り降りに、ステップかスロープを使う
脚の細い犬や、年をとった犬にとって、高いベッドからの飛び降りは足や腰に負担がかかります。ベッドの横に、段差をゆるやかにするステップやスロープを置くと安心です。スロープと階段を切り替えられるタイプなら、若いうちは階段、年をとったらゆるやかなスロープ、と長く使えます。
ルール4:寝ている犬を急に起こさない
ぐっすり眠っている犬に急に触れたり、寝返りで体が当たったりすると、驚いてかんでしまうことがあります。寝ている犬を起こすときは、まず名前を呼んでから触れるようにしましょう。
ルール5:飼い主さんの眠りが浅くなったら、寝床を分ける
「一緒に寝始めてから、夜中に目が覚める」と感じたら、無理をせず、ベッドの横に犬用の寝床を置きましょう。研究でわかっているように、犬にとっては同じ部屋にいるだけでも安心につながります。飼い主さんがしっかり眠れることも、犬との毎日を元気に過ごすためには大切です。
ヌプツェルールがあれば、パパやママも私たちも安心して眠れるね。無理しないことが、いちばん長続きするコツだよ!
ウィペットと寝るときの寝床の工夫
ローツェウィペットは寒がりだから、冬になるとお布団にもぐりたくなる子が多いんだよね。
体脂肪が少なく、寒さに弱い
ウィペットは体脂肪が少なく、毛も短いため、寒さに弱い犬種です。飼い主さんの布団にもぐりこみたがるのは、甘えだけでなく、暖かい場所を探しているという面もあります。
ウィペットの体のつくりと寒さの関係は、以下の記事でくわしく紹介しています。
脚が細く、高い場所からの飛び降りに注意
ウィペットは脚が長く細いうえ、勢いよく動く犬種です。ベッドから床へ一気に飛び降りるくせがある子は、ルール3のステップやスロープを使い、乗り降りのしかたを習慣づけておくと安心です。
一緒に寝ない夜も安心できる「もぐれる寝床」
同じ部屋で寝床を分ける場合は、ウィペットがもぐりこめる、屋根つきのドーム型ベッドや、厚手の毛布を用意してあげましょう。体を丸めた大きさを測り、ゆとりのあるサイズを選ぶのがポイントです。飼い主さんの匂いがついたタオルを入れておくのもよいでしょう。
ルアーコーシングの大会前日は「いつも通り」
大会前日だけ寝る場所を変えると、かえって落ち着かなくなることがあります。いつもと同じ場所で寝かせるのが基本です。くわしくは、先ほど紹介した寝方と分離不安の記事を参考にしてください。
ローツェ寒い夜は、暖かい寝床と大好きな人の匂いがあれば、私たちウィペットはぐっすり眠れるよ。
一緒に寝ない人も大丈夫|寿命のために本当に大切なこと
ヌプツェ一緒に寝ていない人も、心配しなくて大丈夫。大事なのは、もっと別のところにあるよ!
「一緒に寝ないと寿命が縮む」という研究もない
「一緒に寝ると寿命が延びる」研究が見つからないのと同じように、「一緒に寝ないと寿命が縮む」ことを示した研究も見つかりませんでした。ケージやクレートで落ち着いて眠れている犬に、無理に寝る場所を変える必要はありません。
研究からわかる「長生きのために大切なこと」
ここまでの研究から言えるのは、次のようなことです。
- 犬が安心して眠れる環境をつくる(そばにいる、静かで暖かい寝床)
- 強い不安や恐怖をためこませない
- 人やほかの犬とのつながりを大切にする
不安をためこませない接し方
分離不安を防ぐ毎日の接し方は、以下の記事で紹介しています。
犬が飼い主さんを信頼しているときに見せるしぐさ(寝姿勢など)を知っておくと、愛犬が安心できているかどうかの目安にもなります。
ヌプツェ一緒に寝ても、別々に寝ても、安心できる毎日がいちばんの長生きのもとだね。
よくある質問
- 一緒に寝ないと、犬の寿命は縮みますか?
-
縮むことを示した研究は見つかりませんでした。
大切なのは寝る場所ではなく、犬が安心して眠れることです。同じ部屋の別の寝床や、落ち着けるクレートでも問題ありません。 - 犬が寝る位置で、家族の中の「順位」がわかりますか?
-
寝る位置で順位がわかることを示した研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。
アメリカ獣医動物行動学会(AVSAB)は、犬の問題行動の多くを「順位争い」で説明する考え方は誤解にもとづくと説明しています。寝る位置は、暖かさや好きな人の近くといった理由で選んでいることが多いと考えられます。 - 顔をなめられても大丈夫ですか?
-
健康な人なら、重い病気になることはめったにありません。
ただし、犬の唾液には人に病気を起こすことがある菌がふくまれます。顔や口、傷口はなめさせないようにし、触れ合ったあとは手を洗いましょう。 - 一緒に寝始めてから眠りが浅くなりました。どうすればいいですか?
-
ベッドの横に犬用の寝床を置き、同じ部屋で寝る方法がおすすめです。
研究では、犬がベッドの上にいると飼い主さんの睡眠効率が下がる一方、同じ部屋にいるだけなら睡眠は良好でした。 - 若い犬と一緒に寝てもいいですか?
-
体の成長と、ひとりで落ち着ける力を育てることを考えて決めましょう。
ベッドからの飛び降りは、体が成長しきっていない時期の足に負担がかかります。また、いつも一緒でないと眠れない状態にならないよう、ひとりで休む練習もしておくと安心です。
まとめ
飼い主さんがそばにいると、犬は早く寝つき、深く眠れることが研究で分かっています。触れ合うと、犬にも人にも安心ホルモンが出ることも報告されています。
強い不安を抱える犬は寿命が短い傾向がある(約6か月)ことから、安心して眠れる毎日は長生きの土台になると考えられます。ただし、研究の規模が小さかったり条件が違ったりするため、「同じベッドで寝れば寿命が延びる」とまでは言えません。
一緒に寝るなら、ノミ・マダニの予防、顔や口をなめさせないこと、ベッドの乗り降りの工夫といったルールを守りましょう。免疫が弱い人や小さな子ども、高齢の方がいる家庭では、同じ部屋の別の寝床がおすすめです。
同じベッドでも、ベッドの横でも、クレートでも、犬が安心して眠れることがいちばん大切です。今夜は、愛犬の寝顔を見ながら、寝床をちょっと見直してみませんか。
出典・参考情報
この記事は、以下の情報に基づいて執筆しています。
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- 静岡県「パスツレラ症について」:www.pref.shizuoka.jp
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